抗体依存性細胞傷害 (ADCC)

Antibody-dependent cellular cytotoxicity (ADCC) Application
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抗体依存性細胞傷害(Antibody-dependent cellular cytotoxicity; ADCC)は、モノクローナル抗体(mAbs)が腫瘍抗原を認識して結合し、これにより免疫細胞、特にナチュラルキラー(NK)細胞による腫瘍細胞の殺傷が増強される免疫反応です。標準的なNK細胞ベースの免疫療法と比較して、ADCCを介したNK細胞による腫瘍細胞殺傷には以下のような利点があります。

  • >> 抗体により、NK細胞のエフェクター機能が増強される

  • >> 抗体の結合により、NK細胞ターゲッティングの特異性が高まる

  • >> NK細胞による効率的な抗原認識

抗体依存性細胞傷害のプロセス

抗体依存性細胞傷害(Antibody-dependent cellular cytotoxicity; ADCC)は、以下のステップを経て発生します:

1. 抗体が、がん細胞上の抗原に結合する。

2. ナチュラルキラー細胞上の Fcy レセプターが、抗体のFc 領域を認識し結合する。

3. NK細胞がグランザイムとパーフォリンを放出し、がん細胞を溶解する。

4. がん細胞がアポトーシスにより死滅する。

In vitro antibody-dependent cellular cytotoxicity (ADCC) cell killing assay steps for immunotherapeutic development.

ADCC 免疫療法アッセイ

抗体依存性細胞傷害の評価
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目的: ADCCの効力を、標準的なNK細胞による殺傷と比較し、その作用機序を調べました。NK細胞は、その表面に抗体が結合した標的細胞を殺傷するため、抗体ベースの治療法の評価に有用です。

 

Trastuzumab promotes antibody-dependent NK cell killing of SKOV-3 target cells.
Trastuzumab promotes antibody-dependent NK cell killing of SKOV-3 target cells.
Trastuzumab promotes antibody-dependent NK cell killing of SKOV-3 target cells.
Trastuzumab promotes antibody-dependent NK cell killing of SKOV-3 target cells.
Trastuzumab promotes antibody-dependent NK cell killing of SKOV-3 target cells.

 

がん細胞を、HER2標的モノクローナル抗体であるトラスツズマブで処理した後、CD16抗体を含むNK細胞、或いは含まないNK細胞と共培養しました。Maestro Zプラットフォームを用いて、NK細胞の標的細胞に対する特異的キリングを評価しました。

結果: トラスツマブ処理により、NK細胞による細胞傷害が増強されました。また、この抗体依存性殺傷能力は、CD16抗体により阻害されました。

 

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ADCC反応における、最適エフェクター : ターゲット比の検証
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目的: 異なるエフェクター : ターゲット (E:T)細胞比を用いて抗体依存性細胞傷害を評価しました。E:T比は、ADCC反応の効果に影響を及ぼす可能性があり、その検証は重要です。

 

PBNK cell-mediated cytolysis at different E:T ratios in the presence or absence of trastuzumab.
PBNK cell-mediated cytolysis at different E:T ratios in the presence or absence of trastuzumab.
PBNK cell-mediated cytolysis at different E:T ratios in the presence or absence of trastuzumab.

 

異なる比率のがん細胞とNK細胞を、トラスツズマブの存在下または非存在下で共培養し、Maestro Zを用いて免疫細胞の殺傷効率を測定しました。

結果:全ての E:T 比においてADCCはみられたが、低いE:T比ほど強いADCC反応が示されました。

 

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ADCC作用ドナー間差の検証
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目的: 異なるドナー由来のNK細胞を用いて、細胞溶解とADCC作用を評価しました。ドナーによるばらつきは、アッセイの開発や、潜在的な 免疫療法の有効性の検証において、重要な考慮事項となります。

 

Antibody-dependent cellular cytotoxicity across donors.
Antibody-dependent cellular cytotoxicity across donors.
Antibody-dependent cellular cytotoxicity across donors.
Antibody-dependent cellular cytotoxicity across donors.

 

複数のドナーからNK細胞を回収し、Maestro Zを用いて、トラスツズマブ存在下でのがん細胞傷害とADCC作用を測定しました。

結果: NK細胞によるキリングと、トラスツマブによるADCC活性が、全てのドナーにて観察されました。

 

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アプリケーションノート: NK細胞による膠芽腫細胞傷害の定量化
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FAQ:

Maestro プラットフォームを用いたMEA及び細胞インピーダンスアッセイは、染色が必要ですか?

いいえ。Maestro プラットフォームは、ラベルフリー・非侵襲状態で免疫細胞の機能を評価できます。

浮遊のターゲット細胞を使用できますか?

はい。詳細はプロトコルをご覧ください。