MEA Viability モジュール
MEA Viabilityは、Maestro Pro、Edge専用のソフトウエアモジュールです。MEAプレート上でインピーダンスを測定し、細胞の電極への被覆や細胞の生存率を定量化します。
同一電極からの細胞外電位とインピーダンスの両測定は、細胞の電極への接着の確認、神経毒性(心筋毒性)と細胞毒性の識別などに大変有用です。
Key Features
MEA Viabilityモジュールは、細胞外電位を測定する電極を用いてインピーダンスを測定します。電極が細胞に被覆されていればインピーダンスは高く、被覆されていなければインピーダンスは0に近くなります。また、細胞死などにより細胞が電極から剥離するとインピーダンスは減少します。
細胞外電位測定において、シグナル変化の要因を見極めるのは容易ではありません。薬剤投与などによるシグナルの減少や減衰は、神経毒性(心筋毒性)が要因か、或いは細胞毒性に因るものかの判断は困難です。MEA Viabilityによるインピーダンス測定は、細胞の生存率を定量化しこれらの識別を容易にします。
アッセイの方法
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測定方法は極めて簡単です。専用ソフトウエアAxis Navigator 上で特定のデータ取得モードを選択し、測定を開始します。
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ボタンをクリックしてデータ取得を開始すると、最初にインピーダンスを測定し、続いて細胞外電位を測定します。
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取得されたインピーダンス値は、カラーコード化されたヒートマップで表示されます。
測定中リアルタイムでのインピーダンス表示
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取得されたインピーダンス値は、カラーコード化されたヒートマップで表示されます。測定中の細胞外電位ヒートマップやシグナルとの参照も可能です。
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Well内全電極のインピーダンス値が得られ、測定中の細胞外電位応答との参照も可能です。
(A) 神経毒性(神経活動を抑制する)化合物投与例。スパイク活動は消失(上図)したが、インピーダンス値に顕著な変化は見られなかった(下図)。
(B) 細胞毒性化合物投与例。細胞死により、スパイク活動(上)の消失と共に、インピーダンスの著しい減少(下図)が見られた。
データ解析
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MEA Viability モジュールにて測定されたインピーダンスは、付属ソフトにより簡単に解析が可能です。
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MEA Viability モジュールの解析項目:
- Resistance (kΩ) – 各電極毎のインピーダンス値と、Well内の平均値
- Weighed Mean Resistance (kΩ) – アクティブ電極のみを対象としたwell内のインピーダンス平均値
- Number of Covered Electrodes – 細胞により被覆されている電極数(自身で条件を設定)
- Activity Map - インピーダンス値をカラーコード化し、プレート内全 well のインピーダンスを表示
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付属ソフト Metric Plotting Toolを用いて、解析結果を簡単にグラフ化することができます。
Overview
MEAで取得される電気的なシグナル(細胞外電位)変化の要因を見極めるのは容易ではありません。化合物投与後にシグナルが消失、或いは著しく減少した場合、それは、神経毒性(或いは心筋毒性)による機能低下によるものか、或いは細胞死によるものかの識別は困難です。MEA Viabilityモジュールは、これらの識別を容易にします。
MEA Viabilityモジュールは、細胞の電極への接着によって変化するインピーダンスを測定します。細胞が電極に接着するとインピーダンスは上昇し、細胞死などにより細胞膜が破綻するとインピーダンスは減少しします。LDHやトリパンブルーと同様の感度で細胞膜の破綻を検出し、細胞の生死を定量化します。下図は、同一well から得られた写真(左)、インピーダンスマッピング(中央)、スパイク頻度 (右)を示しています。高インピーダンス(中央図・黄色)の領域にて高い発火活動が検出されていることが分かります。
MEA電極による細胞外電位測定と同様、インピーダンス測定はラベルフリーで、アッセイの繰り返しによる細胞へのダメージは殆どありません。また、その機能はMEAデータ取得ソフトAxis Navigator内に組み込まれており、従来のMEAアッセイと同じ作業で、細胞の生死を示唆する重要な情報を得ることができます。